市場への第一歩
2017年9月6日、ジェイアール京都伊勢丹の9階・呉服売り場にて、ポータブル和室空間「京・和室 https://kyowashitsu.jp/ 」の展示・販売がスタートしました(当社は宣伝広報&営業販売をマネジメントさせていただいております)。組み立ても無事に完了し、プレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000026674.html)からの取材も入り、これからたくさんの方の目に触れることで、市場に出てゆく第一歩を踏み出します。
減少する和室
和室は、徐々にその姿を消しつつあります。核家族化が進むことによって一世帯当たりの居住人数は減る傾向にあり、和室のように多目的に使える部屋は必要とされなくなってきました。日本人のライフスタイルが西洋化したこともあり、和室の大きな構成要素である「畳」の国内需用量は、4,500万枚(1993年)から1,490万枚(2012年)にまで減少、二十年で実に三分の一の需要が無くなったことになります(熊本県い業生産販売振興協会の調査による)。「京・和室」を開発した杉本さんの着想も最初はそういった危機感が背景にあり、「木造建築の大工職人や和室に使う建具、唐紙、畳などを作る職人が減少の一途をたどり、世代間の継承もままならない現状をどうにかしたい」とインタビューで語っておられました。
「ロシナンテス」川原尚行さんとの出会い
そんな中、アフリカ・スーダンで医療活動を展開するNPO法人「ロシナンテス https://www.rocinantes.org/ 」を運営する川原尚行さんからの一本の電話をきっかけに、「京・和室」構想がスタートします。スーダンのハルツーム大学に日本文化を体験できる施設を建築することになり、それをぜひ和室で作って欲しい、という要望をもっておられたのです。遠い地での和室建築に、建材の持ち込み規制やスーダンの大工職人との連携など、幾多の課題が立ちはだかりました。それらをチームワークで乗り越えて、建物は無事に竣工。子供達や関係者の笑顔に癒されつつ、杉本さんは、日本の建築技術の高さを再認識しました。例えば「引き戸」。世界中の建物の中で、サッシなどをのぞいて「引き戸」があるのは日本くらいです。それは、歪みなく計算通りに、凹凸ぴったりに据え付けられる、大工職人と建具などを作る職人との調和によって初めて実現します。海外に出て、初めて日本の価値を再認識する。この価値を、インバウンド観光の追い風を活かして、もっと気軽に、広く海外へ広められないか。それが、和室に関わる関係者の希望にならないか。そんな想いが胸に湧き上がってきたそうです。
ラグビー日本代表の記者会見ブースに採用
そうしてポータブル和室空間「京・和室」が誕生しました。技術継承のためではなく、懐古主義の産物としてでもなく、現代において、特に新市場である海外において、瑞々しく新たな価値を見出すために。施工事例の一つは、ラグビー日本代表の記者会見ブースです。2019年にアジアで初めて開催されるラグビーワールドカップ日本大会を見越して、「日本ならではの記者会見ブースを作りたい」という公益財団法人日本ラグビーフットボール協会からのご依頼で実現しました。テーマは「無東西」、NO SIDEの精神です。これから、秩父宮ラグビー場で行われる国際試合の記者会見には、このブースが使用される予定です。
共感していただける皆様と一緒に、日本ならではの空間を、海外へ
今後は、組み立て&解体が容易である(金具をひとつも使いません)という特徴を活かし、主に百貨店の売り場や展示会スペースとして、積極的にご提案していきたいと思っています。並行して、「ZENルーム」として、主に北米市場への展開を準備しています。空間を輸出することで、建材はもちろん、その中で行われる日本文化体験で使用される各種の「お道具」も、海外への販路が拓けます。
しかし、私たちだけでチャレンジするにはテーマが大きすぎると感じています。この志に共感していただける和室建築に関わる皆様、海外の市場にネットワークをお持ちの皆様と、チームワークを発揮して挑戦していきたいと考えています。ご興味を持っていただけた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、機会がございましたら、ジェイアール京都伊勢丹9階呉服売り場まで足を運んでいただき、展示してある「京・和室」を実際にご覧いただければと思います。