ラグジュアリーブランドと並ぶ存在感

ザ・リッツ・カールトン東京のスイートルームをはじめ、錚々たるラグジュアリーホテルや飲食店などの壁面に、西陣織や手描き友禅などのファブリックを提供されている着物デザイナーの斉藤上太郎さん。「現代風にリメイクされた伝統工芸品」は数多あれども、その中でBtoBで事業をされていることにとても興味があり、東京出張のついでに店舗へ伺って来ました。初めて訪れた「GINZA SIX」は、これでもかというくらいのラグジュアリーブランドが入居する、ものすごい施設でした。その4階に斉藤上太郎さんのお店があります。

 

 

機能的な価値と付加的な価値

織物と組子で構成された店内は、圧倒される空間でした。壁面、天井、什器にいたるまで、あらゆるところに鮮やかな織物が使われています。店舗の壁面には防火性などのクリアすべき様々なレギュレーションがあるのですが、斉藤さんはペニンシュラ東京のファブリックを製作するにあたって、耐摩耗性や工業的なレギュレーションをクリアしながらノウハウを蓄積(ペニンシュラグループの審査は最も厳しいそうです)。「安全かつ表現が豊か」といった壁面材としての基本的な価値とともに、これが京都の工芸品として長い歴史があるという、付加的な価値を産み出されたと思います。それらが調和して、現代において、東京のど真ん中で、伝統工芸品が新鮮でみずみずしく活躍している。なかなかこのような例は他に無いのではないかと思います。ポイントは、市場の声に耳を傾け、アヴァンギャルドの精神を持って挑戦したことだと思います。「京・和室」のインタビューで斉藤さんが「先人が築き上げてきたものを、大切にしながら崩していくのが『アヴァンギャルド』であり、それは京都が得意とすること」とおっしゃっていたことを思い出しました。

 

 

 

店内にはカフェも併設。いただいたのは「ぶどうとグレープフルーツのジュース」。女子かっ。凍らせたフルーツに炭酸水を注いで、溶け合ったところをいただきます。スムージーみたいな感じでとても美味しかったです。高さのあるグラス、圧倒される店内、大変緊張しましたが。。。