まち全体がホテル

「まち全体をホテルに見立てた、おもしろいところがあるよ」と聞いてからずっと訪れてみたかったHAGISO(ハギソウ)は、東京・谷中にある、築60年の「最小文化複合施設」。1階はカフェ・ギャラリー・レンタルスペース、2階にはホテルのレセプション&ショップと設計事務所が入居しています。東日本大地震を機に取り壊しが決まっていた木造アパート「萩荘(はぎそう)」が、入居していた東京藝術大学の学生達によって開催されたイベント「ハギエンナーレ2012」で新たな価値を見出され、リノベーションをへて2013年3月に「HAGISO」としてオープンしたという、なんともドラマチックな誕生ストーリーがあります。その後、有りようを変化させ、2015年11月に宿泊施設「hanare」がオープン。その後、2017年6月に複合施設として惣菜カフェ・事務所が入居する「Hatsunean」へ展開。

 

HAGISO外観。

 

中には萩荘の看板。

 

宿泊施設「hanare」は予約が取れずに、1階のカフェ「HAGI CAFE」でランチをいただいて来ました。月曜日の13:30、決して人通りの多い立地ではありませんが、店内は満席。8割が女性客、メニューはランチが5種(おしゃれ)、アルコールや軽食も充実していて、夜の軽い食事もできそうです。

 

キーマカレーが美味しかったです。

 

ギャラリー。

 

進化の順序

一番興味深かったのは、ここが、最初からこのようなありようを見立て、そこから逆算して計画されてきたのではなく、まちに生まれ、まちに受け入れられながら、徐々にいまのようなありように「進化」してきた点です。まず「HAGISO」があって、次に谷中に滞在する拠点としての「hanare」ができた。ホテルとして求められる機能はまちにすでにあるもの(レストラン、銭湯、レンタサイクル)を紹介することで、まちの滞在時間が増え、周辺が潤い、消費が増えた。そこから、(地域の住民の支持の上で)さらに求められる機能を満たす拠点として「Hatsunean」ができた。そのプロセスは、スクエアのサイトを拝見して知りましたが、じっくり、時間をかけて、地域の住民とともに醸し出されてきたものだとわかります。ジェントリフィケーション(まちの空洞化)という言葉も初めて知りました。いち企業で収支を完結させないスタンスがなせる業だと思います。それは同時に高い収益やスケールといったものとの両立が難しいところであり、だから地域に根ざす人でないと継続が難しい。そして、そういう人に恵まれた地域でないとこういうことはできないのかなとも思いました。

 

ホテルのレセプション。

 

ホテルのフロント。

 

泊まれなくて残念、宿泊施設「hanare」。

 

向かいには「The book of tea」岡倉天心記念公園。

 

谷中は歩いて楽しいまちで、中でもここ「CIBI」には立ち寄りたかった。

 

 

谷中には、インバウンド宿泊業界のカリスマ澤の屋さんもありました。