インバウンド観光におけるActivityの設計は、7つのステップを経ることで実現できると思います。
Activity設計7つのステップ
ステップ①ニーズ調査
ターゲットのニーズや地域に至るまでの動線を調査、整理する
ステップ②資源選定
その地域が有する、他の地域と勝負できるコンテンツを発掘、整理する
ステップ③Activity企画
ニーズと地域資源を踏まえて、Activityを企画する
ステップ④テストマーケティング
ターゲットのニーズを熟知した専門家を招聘し、モニターツアーやアンケート、インタビューを通じて改善ポイントを明確にする
ステップ⑤プロダクト化
テストマーケティングの結果を踏まえて、Activityを流通に乗せられる状態=プロダクトにする
ステップ⑥販売方法の検討
最適な販売チャネルを選択する
ステップ⑦プロモーション
販売チャネルを通じてPRする
Activity企画の6つの基準
上記の中で、なかなか方法論が確立されていないのが③Activity企画だと思います。ここは、企画者の個性や独自の方法論があると思いますが、僕なりのやり方を説明します。僕はActivityを作る際に、自分の中に以下の6つの基準を設けています。
基準①文脈
海外にも存在する「文脈」に沿っていること。これは比較対象があること、と言い換えることもできます。例えば今回の事業で僕は「藍染め」に関するActivityを企画しましたが、これは「エシカル」「サスティナブル」の文脈に合わせたものです。
基準②真正性
ホンモノであり、受入れが関係者の誇りにつながること。今回のターゲット(欧米豪のFIT)が好むものであると同時に、インバウンドを受け入れる大きなメリットの一つが「彼らの視点を通して地域文化を再評価する」ことだと考えています。
基準③独自性
他の国やエリアには存在せず、ここに来る必然性があること。観光の本質は差別化です。旅行者にとって「予算」と同じくらい大切なのは「時間」。限られた旅行の日数を割く価値があることを説明できなければなりません。
基準④容易性
コンテンツ・ホルダーが無理なく受入れできること。イベント的にやるのではなく、日常の業務の延長上にできるActivityでなければ、継続ができません。
基準⑤継続性
コンテンツ・ホルダーにメリットがあること。経済的(それ自体で収入が得られたり、販売促進になったりすること)と非経済的(ブランディングになったり、知名度が高まったりすること)の両面でメリットがあるように設計しなければ、継続ができません。
基準⑥柔軟性
組み換え(ばら売り)ができること。いわゆる「パッケージツアー」に合わせてもらうのではなく、旅行者の「やりたいこと」に合わせられるように、単品として成立していることが必要です。
そしてそのうえで、「対象顧客を明確にする」ことが必要です。大まかには、縦軸に予算(High/Middle/Low)、横軸に志向(やりたいこと)をプロットして、どのお客さん向けに仕立てていくのか。「富裕層」にもいろいろあります。
Activity7つの類型
そして、Activityには、7つの類型があると思います。Experienceを醸成するためのActivityを企画するにあたっては、地域のコンテンツがこれらのどれになりそうか、アタリをつけてから始めるのがいいと思います。(まだきれいに整理できていないので、いずれ修正するかもしれません)
購買する(今だけ、ここだけ、あなただけのお買い物)
食事する(飲食の価値を高める)
共同作業する(仲間で思い出作り)
創作する(想い出をカタチにする)
異文化体験する(文字通り、異文化を体験する)
名所を演出される(普段は見られない、言われなければ気づかない名所の楽しみ方)
特別な興味を満たす(特定の好奇心を満たす)